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2021年11月5日連合神奈川第33回定期大会決定【計画期間】 2021年 11月 ~ 2030年 10月
連合は、1989年の結成時の基本文書「連合の進路」において「労働運動をはじめあらゆる分野に女性の積極的な参加を進め、男女平等な社会の実現をはかる」と明示し、1991年10月から計画をスタートしました。
1991年時点で連合全体の女性組合員比率は27.4%、構成組織全体の女性役員比率は5.0%でしたが、2021年1~4月に実施した「連合『第4次男女平等参画推進計画』(プラスを含む)目標達成状況調査」(以降、「2021年調査」)によると、前者は36.4%、後者は16.4%と、確かな前進が見られます。
一方、世界的には、持続可能性の観点から男女格差や不平等、貧困の問題が改めてクローズアップされてきました。多様性や包摂性がキーワードとされる中、2015年9月の国連サミットでは、「誰一人取り残さない」社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」が設定されました。
国内では、政府が2020年12月25日に閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」で、「男女共同参画社会の実現に向けて取組を進めることは、『男女』にとどまらず、年齢も、国籍も、性的指向・性自認(性同一性)に関すること等も含め、幅広く多様な人々を包摂し、全ての人が幸福を感じられる、インクルーシブな社会の実現にもつながるものである」と掲げられました。また、「性的指向・性自認(性同一性)に関するハラスメント防止に取り組むとともに、性的マイノリティに関する企業の取組事例の周知等を通じて、企業や労働者の性的指向・性自認(性同一性)についての理解を促進する」ことも示されました。
このように、性別や国籍など幅広く多様性の尊重が叫ばれてきた中、連合も、2016年に性的指向・性自認(SOGI)に関する差別禁止に向けた対応方針を確認しました。その後、「連合ビジョン」の策定を経て、2020~2021年度運動方針では「男女平等をはじめとして、一人ひとりが尊重された『真の多様性』が根付く職場・社会の実現」と掲げると同時に、機構等の名称も“ジェンダー平等”とし、運動のウィングを広げてきました。
しかし、世の中全体が包摂のある社会へと一気に生まれ変わろうとしていた矢先に新型コロナウイルス感染症が発生し、様々な問題が噴出、顕在化しました。感染者やその家族への差別や誹謗中傷、働く人たちへのハラスメントの問題が深刻化しています。また、解雇・雇止め、育児・家事等負担の増大やドメスティック・バイオレンス(DV)など、雇用と生活の影響は女性の側に大きく出ており、加えて、若者、障がい者、外国人、非正規雇用労働者やフリーランスといった、多様性の文脈で挙げられるような人たちが必要な情報も十分な支援も受けられていない状況です。もともと複合的な困難を抱えているケースも多く、コロナ禍でさらに苦境に立たされています。あらゆる分野で女性の意思決定過程への参画を促進し、その影響評価を行いながら政策等に反映していくことが求められています。
このような中で、政府の「第5次男女共同参画基本計画」では、これまでのいわゆる「202030」の目標達成は十分な議論もなく断念され、「2020年代の可能な限り早期に30%程度となるよう目指して取組を進める」と曖昧な記載にとどめられました。「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」の総合指数ランキングで120位と引き続き低迷し、先進国最下位に位置する日本の現状が改めて浮き彫りになっています。
“男女平等参画”と銘打って取り組みを進めてきたからこそ、労働組合活動全般における女性の参画が進み、意思決定の場への参画も増えることで、関連法の改正をはじめ男女平等課題が組織全体で共有され、前進がはかられてきました。このことは大きな成果といえます。しかし、第4次計画およびプラスで掲げた目標は2021年調査でも完全達成とはならず、それ以前に、男女平等参画の取り組みがまだまだ普遍かつ中心的な課題になり切れていないのが実態です。以下の「必要と意義」を改めて共有しながら、引き続き男女平等の実現に声を上げ行動することが求められています。
今後も男女間賃金格差など“男女”の不平等の解消と、そのための男女平等参画は変わらず重要な課題です。そのうえで、前述のとおり時代の流れもあり、男女二元論にとどまらない性のあり方の多様性、また、性以外も含めた多様性の尊重が重視されるようになってきました。その中で、少なくとも性的指向・性自認(SOGI)の尊重については、より明確にし、ジェンダーに関する課題として差別やハラスメントの撲滅に取り組まなければなりません。
連合は、2019年10月より従来の男女平等推進委員会を改めジェンダー平等・多様性推進委員会に、男女平等局(雇用平等局)をジェンダー平等・多様性推進局としてきました。さらなる変革と挑戦へと踏み出し、労働組合のみならず社会全体の大きなうねりをつくりだすという決意のもと、運動を展開していきます。
連合神奈川は、男女が共に担う労働運動をめざし、男女平等参画推進委員会を設置し、「第1次男女平等参画推進計画(2001年11月~2006年10月)」、「第2次男女平等参画推進計画(2006年11月~2012年10月)」、「第3次男女平等参画推進計画(2013年11月~2020年10月)」、そして、「第3次男女平等参画推進計画プラス(2020年11月~2021年10月)」を策定し、課題克服と目標達成に向けて構成組織の理解と協力のもとに取り組みを進めてきました。
この間、隔年で全構成組織を対象に調査を実施し、進捗状況の確認や問題点の洗い出しをはかってきました。2018年には大会・中央委員会(代議員・中央委員)にクオータ制を導入し、議決機関への女性参画率を向上させることができました。
また、「第3次計画プラス」で設定した「具体的な取り組み」である「男女平等参画推進に向けた『構成組織トップ対象学習会』」の開催、「構成組織代表による男女平等参画推進宣言ポスター」の作成など達成に向けて取り組んできましたが、計画の「重点目標」、「最低到達目標」ともに達成には至りませんでした。
連合神奈川「第3次計画(プラスを含む)」では、「連合神奈川の女性役員および議決機関への女性参画比率を女性組合員比率以上とする。また、その数値が30%未満の場合は、30%を目標値におくこととする。」と掲げてきました。また、それ以前に政府がいわゆる「202030」目標を掲げていたことから、「30%」という数字はかなり浸透していると考えられます。
一方、世界の潮流は2015年に国連(女性の地位委員会)が提唱した「203050」(2030年までに意思決定の場に女性が50%入ること)であり、日本の人口の男女比もほぼ半分ずつであることから、社会に影響を与える法改正等の政策・制度課題に取り組むにあたっては50%を意識することも重要です。
また、産業・業種等によって男女の偏りがある場合に女性の雇用および組合員を増やすことも大切な取り組みとなります。加えて、より民主制を担保するためには、女性に限らず、多様な人たちが多様な形態で参加できるようにすることが重要であり、そのための目標が必要です。
なお、過去の連合の参画調査によると、男女平等参画は主に女性執行委員の担当とされている一方で、責任者は男性という実態が多いことが明らかとなっています。加えて、女性の場合は専従者が少なく、また、意思決定の地位ではないというケースが多いことも確認されています。様々な課題で女性も責任者となり、その立場で活動に参画し専念できるよう、職場の理解を含めて支える体制等が重要となります。
具体的な目標設定にあたっては、それぞれの組織の実情を踏まえた取り組みを行っていきます。
【設定にあたってのポイント】
連合が2021年10月から取り組みを開始した「ジェンダー平等推進計画」では、女性が働くうえでの格差や不条理を是正するため、労働組合における女性参画を進めていくことを「男女平等参画」、社会的・文化的につくられた性差にもとづく偏見や差別を解消し、性的指向・性自認(SOGI)を尊重し、多様性を認め合う事を「ジェンダー平等」と定義し、これまでの活動に加えて「ジェンダー平等」に取り組んでいくことを明確にしました。そして、構成組織・単組・地方連合会にも「『ジェンダー平等の推進』を目的とする委員会等の会議体を設置する」ことを推進目標のひとつに掲げました。
このことをふまえ、連合神奈川「男女平等局」の名称を「ジェンダー平等・多様性推進局」と改めるとともに、「男女平等参画推進委員会」を「ジェンダー平等推進委員会」として、男女平等参画とともにジェンダー平等を推進していきます。
連合神奈川は、2001年11月「第1次計画」以降「第3次計画プラス」まで取り組んできた「男女平等参画」推進の経緯を引き継ぎ、連合運動における「男女平等参画」「ジェンダー平等推進」の重要性を踏まえ、男女平等参画推進委員会を中心に、連合本部の「ジェンダー平等推進計画」における構成組織・単組・地方連合会の取り組みを基本に、神奈川の状況を踏まえつつ「第4次ジェンダー平等推進計画」パート1(案)を策定しました。
本計画(案)は、2024年までに、「労働組合における男女平等参画」と「職場・社会におけるジェンダー平等の推進」を運動目標に設定し、連合神奈川構成組織がその必要性を十分に理解した上で取り組みを進め、目標を達成していくための計画としました。そして推進にあたり、「男女平等参画」「ジェンダー平等推進」を普遍かつ中心的な課題としてとらえる意識改革が求められていることを、私たち自身が認識していくことが必要です。
また、本計画(案)では、単組・支部・地域連合組織におけるさまざま状況を鑑み、達成状況を検証する組織は連合神奈川・構成産別とします。
「達成目標」「推進目標」を達成し、組合から社会全体に向けて「ジェンダー平等」の大きなうねりをつくり出せるよう取り組みを推進していくこととします。
パート1: 2021年11月~2024年10月
「男女平等参画」・・・女性が働くうえでの格差や不条理を是正するため、労働組合における女性参画を進めていくこと。「ジェンダー平等」・・・社会的・文化的につくられた性差にもとづく偏見や差別を解消し、性的指向・性自認(SOGI)を尊重し、多様性を認め合うこと。
①連合神奈川・構成産別は、2021年11月以降、組合員の男女比率を毎年調査し、把握する。※連合本部が引き続き「参画調査」を実施②構成産別は、2024年10月末までに、女性役員(会計監査を除く)を選出する。③連合神奈川は、2024年10月末までに、執行機関※への組合員比率に応じた女性の参画機会を確保する。※「執行権」を有することが重要
①連合神奈川・構成産別は、大会や中央委員会等の議決機関への組合員比率に応じた女性の参画機会を確保する。②構成産別は、執行機関への組合員比率に応じた女性の参画機会を確保する。
③連合神奈川・構成産別は、「ジェンダー平等の推進」を目的とする委員会等の会議体を設置する。④連合神奈川・構成産別は、多様な人たちが多様な形態で参加できるよう、従来の活動スタイルを点検し、必要な見直しを行う。
達成目標(必ず達成しなければならない目標): ●推進目標(推進すべき目標): □
前述のように、この間、隔年で調査を実施してきましたが、残念ながら目標の達成には至りませんでした。また、回答をいただけなかった組織の実情については把握できていない状況です。
計画の目標を達成していくためには、聞き取り調査を実施するなど、新たな取り組みが必要であると考えます。具体的な内容については、ジェンダー平等推進委員会で協議の上、今後の執行委員会等で提起を行いますので、構成組織の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。