「ピースウィークに寄せて」

  今年2020年 8月、日本は太平洋戦争の終戦から75年という、一つの節目を迎えることになります。戦争により焦土と化した日本は、戦後奇跡的ともいうべき復興を遂げ、経済大国と言われるまでに発展を遂げ、同時に、世界でも有数な平和国家を築き上げるまでになりました。一方で、日本が経験した悲惨な戦争体験を、身をもって知る方々は年々減る一方となっています。戦後生まれのほとんどの人にとって、なかなかその悲惨さは実感しにくいと思われます。非常に多くの尊い人の命が失われたあの出来事を二度と繰り返さないためにも、次の世代、そしてさらに次の世代へと伝えていく必要があるものと思います。

  また日本は、世界で唯一の戦争における核兵器による被爆国でもあります。一瞬にして非常に多くの命を奪った核兵器ですが、被爆後75年を迎えようとしている現在もなお、その後遺症に多くの方々が苦しめられています。核兵器の脅威については、時折新聞やテレビ等で取り上げられてはいますが、これもまた実感しにくいのが現実ではないかと思われます。しかしこのことについても、この先何世代にわたり伝え続けていく必要があるものと思います。

  日本は戦後75年にわたり、幸いなことに武力を伴う直接的な紛争には巻き込まれていません。しかしながら世界に目を向けると、いたるところで民族問題、宗教問題、国境問題などによる紛争が発生しています。多くの一般民衆が巻き込まれ、傷つき命さえ失っています。武器の如何を問わず、人間同士が傷つけあい、時には命さえ奪い合う戦争は決して許されるものではないと思います。このような中にあって、今日まで平和を尊重し、豊かな国を築き上げてきた日本こそがリーダーシップを発揮し、世界中に平和の尊さについてメッセージを発信し続けるべきではないかと思います。同時に、世界で唯一の被爆国として、同じく世界中に核兵器の恐ろしさ、悲惨さを伝えるとともに、核兵器廃絶に向けたメッセージを送り続ける必要があるものと思います。

  一人一人の力そして声は小さくても、それが積み重なっていくことにより大きな力そして声となることが期待されます。そのことを一つのよりどころとし、厚木愛甲地域連合としても、地域で働く仲間そして生活する人たちとともに、核兵器の廃絶も含め、真の世界平和を目指した取り組みを地道に行っていきたいと考えています。

2020年 7月

厚木愛甲地域連合議長

北原  武